毛が生えてくる仕組みと脱毛のメカニズム

サロン・クリニックでの脱毛は、毛が生えてくる仕組みに則って効果が最大限に発揮されるよう工夫した施術が行われています。ですが毛が生えてくる仕組みや体毛のメカニズムについて、「脱毛を受ける側」は知っておく必要はないのでしょうか?

いいえ、脱毛を受ける側も正しい知識を備えることで、施術に適した肌のケアや自分に合ったサロン選びの参考にすることが出来ます。

今回は毛が生えてくる仕組みについて、基礎~応用までを分かりやすくまとめました。

体毛のメカニズム
毛が生えてくる仕組みを知るためには、体毛のメカニズムをまず理解することが大切です。

私たちが普段「体毛」「ムダ毛」として肉眼で確認できているのは、皮膚から外に出ている「毛幹」という部分に過ぎません。
※目に見えている毛は全体の1/3程度と言われている

体毛全体のイメージとしては草木をイメージすると分かりやすいでしょう。地上に出ている幹や枝の部分が「毛幹」、そして体毛において草木の根にあたる部分が「毛根」です。

更に毛根の根元の部分には「毛乳頭」という体毛の核となる部分が存在しており、体毛の製造源である「毛母細胞」に必要な栄養素を送り込む役割を担っています。
つまり毛乳頭と毛母細胞がひとつのセットになり、体毛の製造を行っていると考えてください。

具体的に言うと、体内から毛細血管を通じて栄養分を吸収した毛母細胞は分裂を繰り返して成長し、結果的に皮膚の表面にある皮脂腺の開口部から顔を出して我々のよく知る「体毛」へと至るのです。

【体毛に関わる組織一覧】

・皮脂腺:毛や皮膚に潤いを与えて乾燥を防ぐ、皮脂を分泌する部分
・毛包:毛を包んでいる組織。いわゆる毛穴
・毛球:毛の根元の膨らんだ部分のこと。この中で毛が作られている
・毛母細胞:毛乳頭から栄養分を受け取り、細胞分裂を繰り返して毛を作る細胞
・毛細血管:毛乳頭に栄養素を送る部分
・毛乳頭:毛細血管から受け取った栄養素を毛母細胞に送る部分

ちなみに皮膚から外に出ている毛を剃ったり、引き抜いたとしても根元に存在する毛母細胞を破壊することは出来ません。
毛母細胞が存在し活動を続ける限りは、毛を剃っても抜いても生え続けるわけです。

自己処理で毛を処理してもすぐ生えてくるのと違い、サロン・クリニックで施術を受けると毛が生えてこなくなる(一生とは限らないが)のは、この「毛母細胞にアプローチしているかしていないかの違い」だと考えてください。

毛周期

体毛は処理せずとも、「生えては抜けるサイクル」を繰り返しており、このサイクルのことを毛周期(ヘアサイクル)と言います。

【毛周期は3段階】

①成長期・・・毛が新しく生え成長する期間
②退行期・・・毛が成長を止め伸びない期間
③休止期・・・成長が止まり、最終的に毛が抜けるまでの期間

毛周期は体毛1本ごとに異なるだけでなく、部位によっても異なっており休止期から成長期に移るスピードが最も早いのは頭髪だと言われています。
日常生活ではなかなか実感が難しいですが、このように人間の体に存在する毛はすべて「毛周期に則って生えては抜ける」をそれぞれの周期で繰り返しているのです。

サロン・クリニックでの脱毛ではこの「毛周期」が脱毛効果に大きく関係しており、脱毛器は毛周期の中でも「成長期」にあたる時期の毛根に対して強い効果を発揮するのに対して、退行期・休止期の体毛には効果がないと言われています。

従って、サロン・クリニックでは毛周期に合わせた施術を行うため、ある程度の間隔(1~3ヶ月程度)を空ける必要があるのです。

毛が生えてくる仕組み
毛周期は3段階に分かれているとすでにご説明しましたが、それぞれの段階の中で様々な働きが行われています。

【成長期】
①毛乳頭が毛母細胞に発毛の命令を出す
②毛細血管を通して得たアミノ酸など発毛に必要な栄養素を毛母細胞が取り込む
③毛母細胞は細胞分裂を繰り返し、毛の主成分「ケラチン」を生成する
④毛球部のメラノサイト(色素形成細胞)が、黒い毛の元となるメラニン色素を生成する
⑤毛母細胞は細胞分裂時にメラノサイト(色素形成細胞)からメラニン色素を受け取り、毛の生成を行う
⑥毛母細胞が細胞分裂を繰り返し、毛が伸びていく

【退行期】
①毛母頭と毛母細胞が分離を始める
②毛の成長スピードが落ちてくる
③毛根が押し上げられていき、抜けやすい状態に移行する

【休止期】
①毛母細胞の細胞分裂が停滞
②毛が自然に抜けていく

以上が毛が生えてから抜け落ちるまでの仕組みです。

サロン・クリニックにおける脱毛の仕組み
ここまでで体毛のメカニズムや毛が生えてくる仕組みは理解できましたか?
難しいことは抜きにしても、「体毛は毛母細胞が破壊されない限りは、剃っても抜いても生え続ける」という点だけは覚えておいてください。

さて、ではサロン・クリニックでの脱毛がどのような仕組みで行われているのか?ですが、サロンで主流の光脱毛・クリニックで主流のレーザー脱毛、どちらも共に根本的なムダ毛へアプローチする仕組みは同じです。

簡単に言えばサロン・クリニックでの脱毛は以下のような仕組みで行われています。

「毛母細胞をターゲットにして、光・レーザーを当てる」

「毛母細胞が熱によって変化し、細胞分裂を停止する」

「毛の生える仕組みが止まるので、毛が生えてこなくなる」

意外と簡単ですよね。

目に見える体毛にアプローチするのではなく、「毛の製造箇所の働きを止める」ことで長期的に毛が生えてこない状態に持っていく狙いがあるのです。
ちなみに脱毛サロンでの施術と医療脱毛での施術(いわゆる「永久脱毛」)では、毛の再生率が医療脱毛の方が低く、毛が生えてこない状態が長く継続しやすいのですが、両者の大きな違いは「脱毛器の出力の違い」だと考えてください。

医療脱毛ではより強い出力でレーザーを照射できるため、毛母細胞へのダメージも大きく、毛の再生率が低くなるわけですね。

以上、今回は毛が生えてくる仕組みや脱毛のメカニズムについて詳しくお伝えしました。
医療脱毛は脱毛効果が高いのは確かですが、費用面ではサロン脱毛の方が手軽なケースも多いため、自分にどちらが合っているかは費用面、脱毛効果、通いやすさなどを天秤にかけて相性の良いものを選ぶと良いでしょう。

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